@ワイナリーの地形・地質
Aワイナリーの土壌
B各品種ごとの成長解析
2011
Cシラカンバ
Dオオムラサキとエゾエノキ
E八剣山の絶景ポイント
(赤八剣山)
Fさとやま八剣山
G地すべり地形
Hビオトープ
Iミズバショウ
J河岸段丘と扇状地
K八剣山の地質
Lワイン用ブドウの苗木
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@ワイナリーの地形・地質 |
第一第二圃場は扇状地の末端部に位置し、南向きの緩斜面となっています。圃場の表層部は、扇状地性堆積物である礫混じり粘土(亜角礫-亜円礫)からなっています。これは昔の河床〜土石流堆積物です。さらに圃場内に帯状に砂礫質の過去の川筋が確認されます。表層から1.5〜2m下位には、腐植を伴う青粘土層が分布し、不透水層になっています。青粘土の成因についての一つの仮説が「古藤野湖(関根達夫氏)」にともなう湖沼堆積物です。「古藤野湖」は、豊平川が支笏火砕流堆積物によって硬石山付近で堰上げされ形成された湖と考えられています。豊平川左岸の鞍部(南沢西)の標高を勘案すると湖面の標高は最大でも200m強だったと考えられ、青粘土層の標高(205m)程度と符合します。
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Aワイナリーの土壌
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土壌分析の結果、当該地では有効態りん酸の量やMg/Kなどのバランスは良好ですが、pHがやや低い(pH=5.55)ことが判りました。このため貝化石土壌改良剤を必要量投入し、改善を行っています。
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B各品種ごとの成長解析
2011
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第一圃場(試験圃場)は平成20年から整備を始め、欧州種を中心に約20種類の品種を試験栽培しています。
平成22年に移植したなかでもっとも活着-成長の良かったのは、アルモノワール、カベルネフラン、シャルドネ、リースリングの4品種で、これを平成23年から第二圃場で栽培しています。品種による成長の違いに加えて、狭いエリアでも礫や粘土の含有量が変化し、ブドウの生育に変化を与えるのには驚かされます。第三圃場はH24年に成熟の早いピノグリ、ピノブランを植付(ポット苗)しました。
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Cシラカンバ |
八剣山ワイナリー敷地内には白樺の木があります。正式名称はシラカンバ。清潔感ある白い樹肌と若葉の淡い緑は北国の春のシンボル的存在です。この近縁種にはダケカンバがありますが、なかなか見分けは難しく、花穂が上を向いているのがダケカンバなんだとか。いずれもいわゆる白樺です。最近では鼻炎アレルギーを起こすためにすっかり嫌われ者になってしましました。
芽吹きを始める準備として盛んに水を吸い上げる時期には、幹から樹液を採取することができます。ほんのりと甘く、ミネラルをたっぷり含んだ樹液は早春の森の恵みです。
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Dオオムラサキとエゾエノキ
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八剣山ワイナリー周辺は国蝶「オオムラサキ」の繁殖地です。オオムラサキの幼虫の食樹はエゾエノキです。オオムラサキの繁殖を助けるため、当ワイナリーでは平成24年にエゾエノキ20本の植樹を行いました。
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E八剣山の絶景ポイント
(赤八剣山) |
年に何度か。空気の澄んだ日の日没前の一瞬、八剣山の頂がオレンジ色に輝き、やがて夕暮れがやってきます。これが「赤八剣山」。見ることができた人には、きっと素晴らしい明日がやってきます。
この場所が、八剣山の絶景ポイントです。遠景に八剣山の稜線から続く緑の山腹、近景に整然と並ぶワインブドウの列。この大きな景観から大きなパワーをもらってください。
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Fさとやま八剣山 |
「さとやま八剣山」は、1999年5月に設立した市民ボランティアグループです。畑仕事やキノコ栽培、たき火料理などを楽しみながら、ゆったりまったり里山環境のアウトドアを楽しんでいます。とはいえビオトープや遊歩道の整備を行ったのも当グループです。どなたでも参加できます。ご興味のある方は事務局(011-780-2222、平野事務局長)までお問合せください。
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G地すべり地形 |
ここは幅約30m、長さ約40m、高さ約15mの地すべり地形です。明瞭な滑落崖の下に地すべり土塊が緩斜面を作っています。滑落崖の下には陥没した窪みが、末端部には湧水が見られます。植生の状況から現在は滑動していないと思われます。 |
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Hビオトープ |
このビオトープは1999年から2001年にかけて人工的に作ったものです。もともとの笹薮を掘り込んで湧水や沢からの水を引き込みました。作った当初しばらくは土がむき出しでしたが、すぐにガマの密生地に。やがて植生のバランスが取れ、最近になって現在のように水面が見えるようになりました。中島では毎年カモが営巣しています。
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Iミズバショウ |
毎年4月上〜中旬にミズバショウが満開になります。この群生はもともとこの場所に自生していたもの。毎年観察するとその年の積雪や気温によって開花の時期が半月も前後することに驚かされます。夏になると葉が1mもの大きさに成長して、まさに芭蕉(バナナ)の葉のようになります。
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J河岸段丘と扇状地 |
豊平川の両岸に5-6面の河岸段丘面が発達しています。さらにこの上には砥石山沢が作った扇状地が形成されています。八剣山ワイナリーの各圃場は高位段丘面上(第2-3面)にあり、第一第二圃場は、さらに扇状地堆積物によって覆われています。
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K八剣山の地質 |
八剣山の周辺は第四期以前に火山活動が活発だったところで、数百万年前に噴出した溶岩などが分布しています。八剣山はこれらを貫く貫入岩体(複輝石安山岩)で、浸食されて「恐竜の背骨」のような稜線を作っています。山頂部のデイサイトからは400万年前(K-Ar法)の年代値が報告されています。
また、近くの砥山ダム下流の豊平川河床の泥岩の中から約800万年前のジュゴンの仲間のサッポロカイギュウ(札幌海牛)が見つかっています。
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Lワイン用ブドウの苗木 |
ワイン用の欧州種のブドウの木は、ほとんどが接木で生産されます。これは、欧州種のブドウ(ヴィティス・ビニフェラ)がフィロキセラ(Phyllixera、ネアブラムシ)に耐性を持たないためです。1863年にアメリカから持ち込まれたフィロキセラのため、ヨーロッパのワイン産業は壊滅的な打撃をうけました。この対策としてアメリカ系のブドウを台木にして欧州系ブドウを接木することが一般的になったのです。このほかに、交配種を作ることもフィロキセラ対策として行われてきました。
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